東日本産直ビーフ研究会
会長 岩渕 行雄
http://www.sanchoku-beef.org
「BSE禍で研究会を発足」
平成13年9月に発生したBSEで、丹精込めて生産した牛肉がまったく販売できない状態に陥りました。
それまでは、牛肉は生産すれば滞りなく販売が出来ていましたので牛肉は売れなくなるという危機感は持っていませんでした。
しかし、このままでは現状も踏まえて将来にわたっても生産者の不安は解消できないと考え、自分たちが生産する牛肉について、流通・販売にわたるまでをこれを機会に勉強をしなおすことにしました。
消費者に安心して食べてもらえ、加工、流通の業者の方にも、消費者にも高い評価を得られるような牛肉の生産、販売方法を考えてみることにしたのです。
幸い、同じような危機感を持った方が生産者以外にも多くおられたので、皆で討議し、研究し、知恵を絞ることにしたのです。
そこで、「食の絆」をテーマに、生産者、飼料・資材を提供する企業、加工業者、流通など、牛肉の生産から販売にたずさわる皆さん、学識経験者も合わせて一緒に、高品質で消費者の支持の高い牛肉を生産する研究会を発足させました。
それが、14年3月31日に設立した「東日本産直ビーフ研究会」です。



「ホルスの肉質の本質的な改善」

私どもの研究会の千葉県の会員には、「ホルス・交雑種」が多いので、まず「ホルス・交雑種」の肉質改善を始めることから入りました。
市場調査の結果、日本のスーパーマーケットでは、「和牛」と「交雑種」「輸入牛肉」の使用が多く「ホルス」を多く販売してくれる店舗が少ないことが解りました。
なぜ、スーパーマーケットが「ホルス」を販売してくれないのかというと、それは「売場での変色」が原因でした。
牛肉の鮮紅色がホルスの場合は売場に商品化して陳列すると、早い場合は夕方。持っても翌日には変色が始まりロスを多く生ずることで売場での評価を受けていない。と、言うことでした。
アメリカやオーストラリア産のグレインフェッドの方がホルスよりも色持ちが良く柔らかく、美味しい。ということでした。
これでは、ホルスの肉の本質的な改善をしなければ、これまでのように、国産であるとか、生産者が特定できる。というだけでは本当の消費者の支持は得られないのではないか?と、考えました。
「産地直送」といっても、素牛も飼料も肥育方法も生産者によってまちまちですから、もっと本質的な取り組みを強化することが生産者にとってもっとも大きな課題ではないか?と考えました。
「トレイサビリティー」で、透明性のある情報が消費者に流れたときに、皆さんが納得して受け入れてくれる裏付けをこれから生産する牛肉には必要であると言う事です。

「生産管理と産直ビーフミックスで統一」
今後の牛肉生産者の方向性や、肉質の本質的な改善を主題に、13年の暮れから牛肉生産と流通に携わっている有志で勉強会を始め、14年3月に千葉県食肉公社(旭市)に「事務局」(事務局長は千葉県食肉公社の鵜沢部長)を置き、「東日本産直ビーフ研究会・千葉県」の設立総会を開き本格的な活動を開始しました。

現在も、会員が毎月一度事務局に集まって打ち合わせていますが、当初は、まず滞留している牛肉の販売から始めました。
生産者自ら流通の現場に立つことからはじめ、SMの精肉チーフや牛肉加工・卸業者の意見を伺いながら会員が試食販売をはじめ売場に立ち現場の声を参考にすることから始めました。
流通の現場の意見はなかなか厳しいものがあり、きめ細やかな販売へのバックアップが必要ということもわかりました。
そこで、14年6月に「東日本産直ビーフ研究会のホームページ」を立ち上げ、我々の目指すところの目標は、生産方法、環境、飼料や会員それぞれの情報の開示を始めました。
このような活動が実を結んだのでしょうか、私たちのホルスのブランドである 「千葉しあわせ牛」の販売指定店が徐々に増えていきました。
販売促進の部署を事務局に設け、販促担当の生産者を中心に「パネル、SPシール、仕切り板、試食販売用のハッピ」など、ツールを揃えていきました。
これらの活動により、会員のモチベーションは飛躍的に向上しました。
生産者も、流通の末端まで目を配り市場が要求するような商品でないとお客はプレミアムを払ってくれないこともよく解りました。
そして、ホルスの肉質改善に取り組みました。
結果として、ビタミンEやハーブ系の飼料を給餌することで、鮮紅色を保てることがわかり、また、作られた肉の中に多くのビタミンEが含まれることで、美味しい牛肉が出来ることも多くの試験を重ねてわかりました。
そこで、その飼料を「産直ビーフミックス」として、飼料メーカーさんに作っていただきそれを、産直ビーフ研究会で販売し、会員はそれを給餌することにしました。
1頭あたりの生産で約2500円多くの費用がかかりますが、市場の評価を考えると結果として安く上がっていると思います。
従って、其の試験結果を踏まえ会員生産者に、素牛を厳選した上で、統一した管理プログラムで、「産直ビーフミック」スというサプリメントを3ヶ月間使用していただける会員のみで再び、「東日本産直ビーフ研究会・千葉県支部」を昨年11月に立ち上げました。
会員数は42から31会員に減りましたが、残った会員の生産意欲や、規模拡大への意欲は前にも増して増加したのではないかと思います。


写真:産直ビーフミックスの試験結果



写真:肉中に多くのビタミンEが多く含まれ鮮度劣化しにくいことが判明
『東日本産直ビーフ研究会の目指すもの』
この研究会も、さらなる肉質の改善と消費者の要求する商品を供給するために会員が研究を重ねています。

研究会が目指すものは、
・ 「食の絆」を通じたフードサプライチェーンの構築
 ・会員皆様の「しあわせ」を大切にする。
・ 会員が生産する肉牛の、「真のリピーター(消費者)」の獲得を目指す。
ことにあります。

産地直送の牛肉を消費者にお届けする活動が消費者の理解を深め、会員共々の繁栄と食品産業の展望を切り開くことに有ります。
会員皆さんと消費者の方々、皆さんが「しあわせ」になりたい、なって欲しいという気持ちからホルスは「しあわせ牛」と命名しました。
千葉県内で会のプログラムで生産されたホルスは「千葉しあわせ牛」として銘柄登録し販売しています。
色持ちがよく、食べても歯ざわりというか、食感が良い、非常2美味しい、と好評です。
これに、販売促進をサポートするために、パネルやSPシールなども会員の提供による資金を活用しています。
また、トレサビについては、移動したトレイスができるように、牛・牛肉の移動に従ってのチャートを店頭やホームページに掲げ、其のポイント・ポントに担当者の問合せ先と、其のポントでの情報の開示ということでホームページにてさらに詳しく知ることが出来るように工夫しました。



写真:千葉しあわせ牛のトレイサビリティーチャート
「東日本各地で支部が設立中」
この活動が評価されたのでしょうか、福島県や、宮城県などでも、この研究会についての問い合わせ多くなり、現在各県でも「東日本産直ビーフ研究会」の支部の設立が相次いで準備中です。
勿論、生産管理ばかりでなく「産直ビーフミックス」の給餌を使用すること。そして、屠畜に関しては「千葉県食肉公社」での処理を条件に入れました。
これは、食肉の加工処理まで、会員が責任を持たなくてはならないからです。
これらの事に共鳴して、理解して会員になっていただける各県の支部が増えていること、別紙の表のように、研究会で管理している牛の目標頭数が増加しています。


写真(スライド):千葉産直ビーフ研究会の現在の規模
「ホルスは相対取引で、F−1・和牛は上場で出荷」
定時・定量の肉牛を千葉県食肉公社から出荷し(相対と上場)、「しあわせ牛」シリーズのラベルを貼った牛肉を販売する事で、消費者の評価(安心・安全・信頼感)を獲得しようと計画しています。
また、「食の絆」を通じたフードサプライチェーンにより、品質評価(相場価格)の10%アップの牛肉を目指しています。
そして、これらの評価(価格)を獲得し、「しあわせ牛」会員の拡大を目指したく思います。

本研究会は目的を達成するために現在次の事業を行っています。
  • 肉牛生産技術の向上に関すること。
  • 肉質の改良に関すること。
  • 販売促進(ブランド牛の開発)に関すること。
  • 素牛、飼料・資材の調達に関すること。
  • 有機肥料等、環境対策との連携に関すること。
  • 定期的な研修会開催に関すること。
  • 会員共々の収益向上に関すること
これらの活動によって「しあわせ牛シリーズ」が消費者に認知され、生産者の意欲が増加し、規模拡大にもつながれば私にとってこれ以上の「しあわせ」はありません。
これからも皆様の御指導御鞭撻のほど、宜しくお願い致します。

(事務局 千葉県食肉公社内 事務局長 鵜沢 0479−62−1074)

以上